小学生ロボコン2022-23全国大会レポート
少しずつ暖かくなり、創作に行き詰った時の散歩がとても心地よい季節となってきました。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
ユカイ工学の教育事業「kurikit」ではこれまでに、小学生ロボコンの企画や運営等に協力してきました。昨年4月から動き始めた今シーズンも、ルールの検討や公式キットの開発、大会運営のお手伝いなど、1年間で様々な部分に携わらせていただきました!
そんな1年間の集大成でもある全国大会が、3月19日に開催されました。今回は、池袋サンシャインシティで繰り広げられたコンテストの熱と、小学生たちの満開のアイデアをご紹介します!!
小学生ロボコンとは?
小学生ロボコンは、全国の小学生を対象としたロボットコンテストです。
2020年から始まった小学生ロボコンも今回で4回目。
今では、各地で地方予選会が行われ、北海道から九州までの様々な地域の小学生が参加する大きなコンテストとなりました。
参加する小学生達は、毎年変わるルールに沿ってロボットを製作し、そのアイデアを披露します。
全国大会とは?
2022年11月から2023年1月までに行なわれた各予選会を勝ち抜いた24名の小学生が3人1組のチームを作り、協力しながらアイデアを競い合うのが小学生ロボコン2022-23全国大会です。
参加者たちは、事前に行われた全国大会事前キャンプで初めてチームメンバーと顔を合わせ、そこから約1か月間オンラインでやり取りをしながらロボットの製作・改良を行ないました。
全国大会の会場は池袋のサンシャインシティ。人気芸人でありゲームクリエイターでもあるマヂカルラブリーの野田クリスタルさんと、いつも小学生の生み出すものに優しく楽しく触れる高橋あやなさんがMCを務めました。
高専ロボコンや学生ロボコンなども手がける方々も加わり、多くの大人が本気で大会を作り上げていきます。ものづくりを目一杯楽しめる大会にするために、大人も子供も関係なく、全力で大会に臨みました!
大会ルールと見どころ
全国大会のルールは「海底開拓 the FINAL 」。
3台のロボットで、物資に見立てたピンポン玉を、海底神殿の部屋に見立てた得点スポットに入れていきます。2チームが順番、もしくは同時に競技を行なうことで勝敗を決める形式です。
位置や高さの異なるそれぞれの得点スポットにどうやって得点していくのか、3台のロボットがどのように連携するのかがポイントになります。
また、今回のルールにはこれまでに無かった「自動ロボット」が登場します。
各チームに1台ずつ配布される自動ロボットには得点スポットがついており、競技中は相手のフィールド内で動かします。
得点されないように動くことができるか、自動ロボットより後ろにある得点スポットにピンポン玉が入るのを防ぐことができるかがポイントになります。
大会の様子
テストラン
参加者たちは大会前日に集合し、事前準備とテストランを行います。
テストランとは、参加者たちのロボットがルールに従って作られているか、大会を滞りなく進行できる性能かどうかなどを確認するための試走会です。
実際に競技で利用するフィールドや相手チームのロボットを初めて目にするこのテストランは、緊張感と期待感が交じり合って高まっていく特別な時間でもあります。
少し緊張した面持ちでロボットの測量やテストランをこなしていきます。
中には、サイズ制限を少し超えていたり、運搬中に破損してしまったりと予想外のトラブルに見舞われてしまう参加者の姿もありました。そんな逆境に屈することなく、メンターの指導を受けつつ慎重に対応していきます。
明日の全国大会を万全の状態で楽しむための本気の調整は、予定の時間ギリギリまで続きました。
予選
いよいよ試合開始!
まずは1チームずつ順番に競技をこなして、決勝トーナメントに進出できる上位4チームを決めていきます。
一試合目から会場の度肝を抜いたのが「ピンポン玉を履いて歩くロボット」です!
得点スポットのあるエリアの一部は「ロボットが上空に侵入しても良いが、接地してはいけない」というエリアになっています。
「ならば、ピンポン玉を履かせて歩けば侵入できる!」という大胆なアイデアを実現したのがこのロボットでした。
一試合目から登場した大胆なアイデアに、野田クリスタルさんも「そんなのアリなの!? よく思いつくなぁ」と驚きを隠せない様子でした。
その後も面白いロボットが続々と登場していきます!
こちらのチームは、ピンポン玉を投げて他のロボットに受け渡すことができるという連携を披露しました。ロボット同士がどのように連携するのかも、今回の競技特有の見どころです。
この後の競技でも、結束バンドでピンポン玉を発射するロボット、木の棒で作ったレールを傾けてピンポン玉をまとめて入れるロボット、ロボットの一番上にある坂道を上下させてピンポン玉を転がし入れるロボットなど、色とりどりのロボットが登場しました。
そんな個性豊かで魅力的なロボット達の活躍に夢中になっていると、あっという間に予選が終了してしまいました。
決勝トーナメントに出場できるのは上位4チームとなっているため、残念ながらここで敗退してしまうチームもあります。ですが、それぞれのロボットの唯一無二の魅力は、見る人全てに伝わっているようでした。
決勝トーナメント
予選を通過する4チームが決まり、ついに決勝トーナメントが始まります。
決勝トーナメントから、対戦する2チームが同時に競技を行ないます。これにより、これまでの予選にはない緊張感が生まれます!
そして、決勝トーナメントからは得点以外の勝利条件である「Vゴール」が追加されます。 Vゴールとは、全ての得点スポットにピンポン玉を入れることで達成できる条件であり、達成した時点で勝利が確定する重要な条件です。
こうした競技スタイル・ルールの変更がどのような影響を及ぼすのかに注目される中で、準決勝が始まりました。
Vゴールに近づくごとに声援のボルテージが上がり、緊張感も高まります。 抜きつ抜かれつの攻防の末に、不利を覆しての逆転勝利を掴むという熱い展開もありました。
そんな数々の激戦を制して優勝したのがチーム「トロピカルインコ」です。 近距離、中距離、遠距離を3人で上手く分担し、ギリギリまで競り合っていた決勝戦をVゴールで制しました!!
表彰式
トロピカルインコの優勝で沸き立った会場も少し落ち着いたところで、参加者のこれまでの頑張りを称える表彰式が始まりました。
賞を決める大人たちが「ここまで魅力的なロボットばかりでは決められない」とばかりに、真剣に悩んでいたのが大変印象的でした。
まずは、優勝チームであるトロピカルインコに賞状が送られます。
次に、プログラミングロボットの動きや工夫を称える「プログラミング大賞」、各協賛企業から送られる「特別賞」、参加者全員の投票によって選ばれる「MVP」などの賞が発表されていきます。
そして最後に、最も栄えある賞として設けられた「小学生ロボコン大賞」の発表です。
見事小学生ロボコン大賞に輝いたのは、チーム「採掘」でした!
統一感のあるデザインや、ピンポン玉を投げて受け渡すチームワークを意識したコンセプトなど、様々な魅力が詰め込まれたチームにふさわしい賞であったと思います!!
こうして、小学生ロボコン2022-23の全ての行程が終了しました。
全てを終えた参加者の皆さんの笑顔が、関わった人全てへの最高の表彰だったと思います!!!
おわりに
1年間小学生ロボコンのお手伝いをさせていただく中で関わってきた全ての人たちのおかげで、素晴らしい大会になったと思います。
ワークショップに参加してくれた人や、地方予選会に挑戦してくれた人、画面の向こうで応援してくれている人など、全国大会に参加していない人たちも含めて、ものづくりを楽しむエネルギーがこの大会の熱を生み出したと確信しています!
また、キット開発者として、同じキットを使っているはずなのに全く違うロボット達が出来上がっていることに、とても感動しました。
これからも、皆さんが楽しく埋めたくなるような余白を残したキットをたくさん開発して、ものづくりの楽しさをより多くの人に伝えられるよう、頑張りたいと思います!
次回の小学生ロボコンについて
小学生ロボコンは今年度も開催予定!
5月頃に大会ルールが発表された後、夏から秋にかけて予選会、11月ごろに全国大会が開催される予定となっております。